​伝統野菜とは

伝統野菜は、日本各地で栽培されてきた野菜です。栽培し、種を採り続けることによって、その土地の風土や気候を種は記憶し、その土地に馴染んだ野菜に育ってくれます。長い歴史の中、どんな気象条件の中でも生き延びてきた種。今私たちの手にあることが奇跡でしかありません。

私たちが暮らす長崎県にも長崎赤かぶ、雲仙こぶ高菜などの美しい伝統野菜があり、これらは私たちのご先祖が大切に守り、野菜の命を継いできたものです。長崎市内では「長崎赤かぶがないと正月は越せん。」と言われたほど、長崎市内のおせち料理を華やかに飾ってくれた存在でした。しかしながら、近年ではスーパーでも見かけることもなくなり、全国的に形や色が揃ったF1種といわれる1代限りの野菜が並ぶようになりました。伝統野菜は流通する野菜の1%にも満たない存在になってしまいまったのです。世界各地でも伝統野菜は失われ、人類は20世紀に94%の種を失った、と言われています。

現在、日本には大根だけでも100種類以上あるといわれ、この多様性は世界でも誇れる日本の食文化であることは間違いありません。伝統野菜は、その時代を、その地域を表す文化でもあります。

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五月大根
五月大根

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各地域にあった野菜

私たちが暮らす地域には、赤紫色のかぶに似た大根があり、最後まで守っていたおばあちゃんの名前をとって「おつね大根」といわれる大根があり、ひと昔前まではこの地域の人はみんなこの大根を育ていたと思われる大根です。だけど、この地域の人は「おつね大根」を知っている人はもうほとんどいません。そして、この大きな「おつね大根」は、煮大根に美味しく、独特の食感と深い味わいがします。秋になると種を蒔き、大根ができると「どの大根を残そうか。」と毎年選んで種を採り、庭先で種をあやし、家族や近所の人と囲んだ冬の思い出なのかもしれません。地域の行事や法事などでも食べられていたとも聞いています。「おつね大根」を買えるお店もなく、流通するものでもありません。だけど、ご先祖さまが大切に守られてきた大根であり、この地域の食文化だったのです。

食べ物が少なかった地域ではこの「野菜の種」が命を守る存在でもあり、食料難の時には種を食べて命を繋いだと聞きました。

そんな思い出も歴史も詰まった、種という命を頂いて私たちは生かされ、また私たちも野菜の種を継ぎ、生かしています。そんな人間と野菜の関係は深く、はるか昔から続いてきました。

私たちの農園でも、今畑にある野菜の親やその親も知っていて、なんだか野菜も家族のような存在でもあります。

これからも伝統野菜の美味しさと魅力を守り、「種」を未来に繋げていけたらと思います。

 

みなさんも住まれている地域に伝統野菜や名前もないような昔から食べられている野菜がまだ残っているかもしれません。ぜひ種を採ってみてください。新しい世界が広がります。

中国ちんげん菜の種どり

黒田五寸人参の一生

種をまく

間引きをする

育てる

翌年に残す人参を選ぶ

その人参を別の場所に植える

人参の芯が上に伸びて花が咲く

花が種になる

株を刈り取り乾燥させる

乾燥した種を手で擦り落とす

ふるいにかける

風でゴミや枝を飛ばす

瓶に入れて冷蔵庫で保存

種をまく

竹田かたつむり農園